「うさぎのいのちについて考える」重度開帳肢のもっちの訃報
12月15日に里親さんから訃報が届きました。
こちらの記事は当時を振り返り「もっち♀」といううさぎについてsakagamiさんに記事を書いてもらいました。
生まれつき重度の開帳肢という障がいがあったもっち。
前日も普通にごはんを食べていて変わりなく過ごしていたと思われていたのですが、突然のお別れになってしまいました。
新しい読者の方はご存知ないと思いますが、もっちは2013年に起きた「大阪と神戸のうさぎカフェ事件」のあったお店で生まれた子でした。
思い出すのもおぞましい多くのうさぎ達の命が奪われ、多くのうさぎ達が行方不明になってしまった事件でした。
その事件が表沙汰になるきっかけになったのがもっちでした。
二人の普通のサラリーマンがお小遣い稼ぎを目論みオープンしたうさぎカフェ。
通常のうさぎとのふれあいはもちろん、うさぎを飼っている人がおうちの子を連れてきてお店の子と遊ばせるというのもひとつの売りだったようです。
当初は不妊をしていない子との接触もあったため、赤ちゃんが生まれて。
販売もしていたようですが、中にはその赤ちゃんを母うさぎから離して夜な夜な経営者がどこかへ連れ去っていたそうです。
生まれたばかりの赤ちゃんを母うさぎから離して連れ去って育っていくわけはありません。
そんなことが何度もあった中で生まれたもっち。
生まれつき開帳肢という障がいがあったもっちが殺されてしまうと恐れた店員さんが相談してくれたことがきっかけでした。
うさぎカフェ事件のその後の顛末は詳しくは書きませんが、たくさんのうさぎ専門店、ペットショップ、ブリーダー、買取屋、その他ペット業界の方々に面会し、ペット業界の裏側の世界のいろんなことを知ってしまいました。
重度の開帳肢で他の子達のように遊ばせてあげることもできません。
介護用のマットの上で手足をバタバタさせながらはしゃぐとってもかわいい仔うさぎだったもっち。
専門店さんや病院でも寿命は短いと聞きました。
開帳肢の子をお世話されていた飼い主さんのお話を聞いたり、経験者の方が書き記したブログなども読み漁りました。
里親募集はするつもりでしたが、お世話が大変になる上、寿命も短い子をお迎えしてくれる方がいるだろうかという不安。
そして「かわいそう」でお迎えしていただくわけにもいきませんし、本当に悩みました。
そんな中、ずっと応援して下さり、ご支援下さっていた方が「私にお世話をさせてほしい」とお申し出くださいました。
知識も経験も申し分ない方でしたので本当にありがたく思いましたが、お忙しい中さらに負担をかけてしまうことに申し訳ない思いや、甘えていいのだろうかという思いがよぎりましたが、その方に託そうと決断したのはその方の「うさぎ愛」でした。
生半可な気持ちではなく、本当にもっちのことを思ってくださっているそのお気持ちを感じることができたのでもっちを託すことに決めました。
たまにお目にかかった時にキレっキレのもっちの様子を伺って嬉しい気持ちにさせていただきました。
何度か会いに行きましたが、手足をバタバタさせながらはしゃぐとってもかわいいもっちでした。
本当に突然のお別れ。
届いたお葬式のお写真。
人間のお葬式のような様式でかわいくお花に包まれたもっち。
もっちの訃報をお伝えした元店員のみなさんももっちが4才7ヶ月という生をまっとうしてくれたことに感謝するとともにあの頃お世話をしていて行方知れずになってしまったうさぎ達に想いを馳せていらっしゃいました。
開帳肢の子は体が大きくなるとどうしても内臓に負担がかかってしまうため寿命は短く、おおよそ3才が限度だろうと言われていたのですが5才を目前というところまで頑張ってくれたもっちを目いっぱいほめてあげたいと思うのです。
でも、もっちの訃報を受けて、うさぎ部屋にいる子達を眺めているととても悲しい気持ちに苛まされます。
うさぎ部屋には飼い主に見捨てられて捨てられてしまった子達に加え、8月の淀川河川敷で保護された子達は明らかに繁殖をしていた者、もしくは業者による遺棄と思われます。
警察も保健所も犬や猫と違い法的根拠が希薄なうさぎの遺棄は「そちらで対処してほしい」というふうに言われてしまいました。
うさぎの命を弄び、自らのお金儲けのために利用し、売れ筋うさぎにするために無理な繁殖を繰り返し、用済みになれば闇から闇へ葬り去るその神経は到底理解できるものではありません。
その犠牲になったのがもっちであり、河川敷で保護された子達です。
さらにその子達から生まれた子どもたち。
スクスク育った子ども達も健康に問題のない子もいますが、複数の子に健康上の問題が見つかっています。
悪質な繁殖業者やブリーダーはもちろん、自家繁殖をしている飼い主達も大嫌いです。
うさぎ部屋で過ごしている子ども達が元気にへやんぽをしている陰で、生まれたけど育つことなく亡くなった赤ちゃん達がたくさんいます。
もちろん過酷な河川敷での生活を乗り越えて生まれてきた子達ですので、その影響はあります。
だけどブリーダーだからちゃんとみんな幸せにしているとは思いません。
たくさんの命が消えていっています。
売れ残った子達の末路。
障がいや病気を持った子達の末路。
うさぎカフェ事件の時にたくさんの当事者から聞きました。
生体販売なんて本当になくなってほしい。
もっちの死を無駄にしないために。
自家繁殖も同じ。「お嫁さん(お婿さん)募集」や赤ちゃんが見たい、子どもを産ませてあげたいなど人間目線の発想で犠牲になる命たち。生まれた命すべてに責任が持てますか?
生まれた子を里親に出さず、全員を育てて幸せにしてあげられますか?
河川敷の子達に幸せになってもらうために。
人間達の利己のために犠牲になったすべての子達のために。
うさぎと家族が幸せになれる社会にしていけるようSAVE THE RABBITSは声を上げていきたいと思います。
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